因久山焼では現在2基の窯を使って焼成を行っています。
江戸時代から、おそらく開窯当初より使い続けている7室の大窯
60年くらい前に築いた3室の小窯です。
いずれも登り窯で構造は同じものの一番の違いは、焼成時に高温になる
部分の違いでしょうか。
大口と呼んでいる一番最初に火を入れる焚口です。役割としては大量に薪をくべることで窯全体に火を通して焼きやすくすることと、ここを通った空気が暖められて各部屋へ送られ温度の上昇を助ける予熱の役割もになっています。
30年以上前、窯焚きを手伝い始めたころはこの口も小さく薪を奥まで放り込むのが大変でした。何度も口に薪をぶつけて直しを繰り返すうちにどんどん大きくなってしまいました。
くべやすくなった分だけ熱くなってしまいました。
大口を横切っているのは胴木と呼ばれる奥に向けた2本のレンガは木持たせと呼んでいます。
胴木は3~4回の焼成で折れて交換になります、木持たせは2回くらいです折れてしまいます。この3本のレンガが多くの薪を支えて窯全体に火を通します。
大口の内部の様子何度も焼くうちに松の灰が自然釉となった様子です。
1室目、大口にくべた薪の炎はこの穴を通って天井に向かい部屋の後ろにある同様の穴を抜け、うねりながら各部屋に火を通していきます。
2室目、奥の焚口が見えます片方だけでは薪が奥まで届かないので両サイドからくべます。
周りの黒や白いのも自然釉です。
窯の天井は赤茶色のヒビは前に補修したところで、粘土色の箇所は前回の焼成前に補修したところです。
焼成時には熱で膨張した窯のレンガの隙間には必ずヒビが入るので天井全体に広がったヒビの補修はかかせません。
2室目、天井にできた破裂したようなところは、焼成中にレンガがはがれて落下したところです。
前回の大きな補修から50年以上使い続けているので窯が老朽化してきています。
次回はこの穴にレンガのかけらと粘土を詰めて焼成することになるでしょう。
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